電気代の真実(17 / 24)

その事業者は一体誰? 〝ソーラーバブル〟に沸く日本
脱炭素って安易に語るな 平野秀樹 (姫路大学特任教授授)

(記事の抜粋です。前略)いったん、経済産業大臣から設備認定を受けると、発電事業はいつ始めてもよい。その時点から20年間にわたり、政府は同じ価格で買い取ってくれる。40円/㌔ワット時(2012年度)は、国際平均価格の倍以上で、こうした〝旨み〟を察知した早耳企業が太陽光発電になだれ込んだ。
土地の取得も見込みレベルで認可が下りるから、地上げは後からでよい。(中間省略)

上記の文中の違っている部分を「再エネの真実を知る会」から真実を発信します。

  1. 「一旦設備認定を受けると、発電事業はいつ始めてもよい。」は、電力会社から連係承諾を受けた者は。いつ発電事業を始めてもよい案件なのにパネルの値下がり、或いは転売を目論んでいるケシカラン未稼働案件だから、全国で約45万件が取り消されています。
    但し、報告徴収に合格した特に大容量の“まともな案件”を連系承諾すると、接続可能容量が減少するから、“ズル賢い悪質な案件”の接続を優先させるために、法に基づかない方法で連系承諾を与えないので“まともな案件”の未稼働案件と、未稼働のまま数年後に必要書類・証拠書類を用意して発電しようとする“ズル賢い悪質な案件”とは、明確に区別する必要があります。
  2. 「土地の取得も見込みレベルで認可が下りるから、地上げは後からでよい」という、“悪質な案件”は、上述の通り法に基づく「報告徴収」で、国がすべて取り消して解決しています。しかし上述の手口で巨大な“ズル賢い悪質な案件”が沢山残っています。ここが再エネ賦課金が激増する原因です。

(中間省略後の抜粋)認定時に約束された買取価格は高止まりのままだ。12年度や13年度に発行された設備認定書は「プラチナカード」で「高利回りの金融商品」になっていて、今でも投資目的のファンドが買い直しするほど人気である。(中間省略)

〝植民地型〟の発電事業システム 地元にしてみれば、事業主体が見えないと困る。
「反対の声を役所は拾ってくれない。再生エネの促進は政府の音頭だからって……」
 風光明媚なその場所が好きで移り住んできた人たちは、苦情の持って行き場がない。相手が外国だと簡単には連絡がつかない。 そもそも地元にとっての益は少ない。
 中国製のソーラーパネルが並ぶだけで雇用効果はなく、売電利益も本社の所在地にしか落ちない。自治体に入るのは固定資産税だけだが、これも所有者不明になると不透明だ。
 おまけに、かかり増し分を負担するのは国民になる。いつの間にか高い電気代を払わされている。筆者も毎月、2段書きで送られてくる請求書の下段を見るたび溜息をつく。上乗せされた「再エネ促進賦課金」は年間1万476円(21年度一世帯あたり)。日本全体で2兆7000億円に上る。これからも、ずっと国民の負担として吸い取られていく。
 上乗せ分の還流先が海外という構図は、国土から生まれる産業サービスの果実(利益)が国外化していることになる。ソーラー発電事業のシステムが「植民地型」だと言われる所以だ。(中間省略)

安全保障上の要衝にソーラーパネルが……
(前略)昨年10月、政府関係機関から内閣府を通じ、次の情報が首相官邸に報告されたという。「再生可能エネルギー発電事業者として中国系資本が何らかの形で買収に関与したとみられる土地が全国に約1700カ所に上ることが判明。この中には防衛施設周辺などの安全保障上重要な土地も含まれる」(産経新聞、20年11月8日)。(中間省略)

エネルギーの外資化シフトへ日本が持つべき備え
(前略)電力についていえば、ここ10年、発電、送電・配電の自由化がしだいに進みゆき、再生可能エネルギー発電の分野では外資系が着実に伸びている。その参入は太陽光にとどまらず、風力、バイオマスの分野へも外資系の進出が目立つようになってきた。SKY SOLAR JAPAN、WWB、上海電力日本などが有力なプレイヤーだが、それらの企業群は今後、供給シェアをさらに高め、川下(消費者側)へもっと影響力を増していくものと予想される。
 こうしたエネルギー部門の外資化シフトを前に、果たして私たちは無思考なままで、よいのだろうか。ウクライナで起こったような危機は日本では起こり得ないのか。
 ゼロカーボンという目標だけに目を奪われていてはならない。

 『Wedge』2021年11月号で「脱炭素って安易に語るな」を特集しております。
 地球温暖化に異常気象……。気候変動対策が必要なことは論を俟たない。
 だが、「脱炭素」という誰からも異論の出にくい美しい理念に振り回され、実現に向けた課題やリスクから目を背けてはいないか。世界が急速に「脱炭素」に舵を切る今、資源小国・日本が持つべき視点ととるべき道を提言する。